− 羅臼湖 オホーツク老人の碑 −
羅臼湖は、約3000年前に天頂山の噴火により、
知西別川(ちにしべつがわ)が溶岩によってせき止められてできた周囲約6kmの堰き止め湖です。
標高740m、面積0.43平方キロ、最大水深4m。
羅臼湖から知西別川は滝となって落下していますが、残念ながら羅臼湖歩道からは見えません。
羅臼岳の山頂からも羅臼湖を見ることができますから当然、羅臼湖からも山頂を見ることができます。
湿原に囲まれた羅臼湖は雲上の別天地ですが、湖までのアプローチも最高に素敵です。
とくに三の沼からの眺めは、北海道一の絶景と言われています。
風がない日なら沼に羅臼岳が映り、言葉を失うほどの神々しさがあります。
9月23日
今日の天気予報は、午前中曇り時々雨。
昼頃からは大陸からの寒気が入ってきて不安定になるとの事。
また豪華な食べきれない朝食の後、ガイドの事務所に向かう。
ホテルまで迎えに来てくれるのだが、
私たちはトレッキングの後そのまま羅臼に向かうので自分の車で事務所に行く。
8時までに事務所に行く予定が7時30分には着いてしまった。
国民宿舎の隣にある。
そのため此処のガイドツアー参加者は無料で此処の温泉に入ることが出来る。
迎えに行ったガイドが帰ってきてレクチャーを受ける。
参加者は私たち以外に6名。
東京の港区の夫婦。
品川区の単独の青年。
中央区の単独の女性
千葉市の二人連れの女性
みんな若い。
羅臼湖のトレッキングは一般向きでは無いというが、若い人たちに人気があるみたい。
長靴をお借りして出発。
羅臼方向へ20分ほど進むと知床峠
羅臼岳や国後島の展望が良いらしいが全てガスの中。
トイレをしてガイドの車に乗り移る。
見返り峠から羅臼湖登山道に入る。
9時丁度
駐車中の車が2台
入林届けを出す。
香港の人が二名入っている。
熊の出現が多い為、食料やジュースなどは持ち込み禁止
水か、お茶のみ持参する。
最初はササの狭い道をぐんぐん登っていく。
水の溜まった湿地帯が多い
やがて表示板に到着。
10分ほどで一の沼に到着
浮島のような島はすでに草紅葉が始まっている。
ゴゼンタチバナの赤い実が目立つ
やがてハイマツのトンネルの中を歩くようになる。
ハイマツを抜け出すと笹原の木道となる。
ガスがひんやりと流れて気持ちがよいこと。
ガイドはゆっくりゆっくりと進むので家内はあちこちキョロキョロ
二の沼は湿原の中にチョロッとある。
此処は盆地になっていて冬はスノーシューが楽しめるらしい。
アカエゾマツが沢山生えている。
階段の登りとなりしばらく行くと三の沼に着く。
品川の青年はおしゃれなのか?
ウールの紺のブレザーに白のパンツ。
その後ろの単独の女性は上着、ザック、パンツまでモンベルなので登山もするのかな?
この三の沼からの羅臼岳の姿が素晴らしくパンフレットなどに良く載っているらしい。
(羅臼湖ガイドより)
しかし今日は羅臼岳はガスの中。
帰りには顔を出すかな?
沼にはツルコケモモの赤い実が沢山なっている。
春には右のような可愛い花を咲かせるらしい。
カナダで見たシューティングスターに似ている。
イソツツジにも実が出来ている。
右は春の花
小さなツツジで道東の山地には沢山生えているらしい。
ダケカンバの樹が多くなるが、厳しい気候に横に這っているのが多い。
信州や四国のすっと伸びたダケカンバとは雰囲気が全く違う。
横に伸びても幹が柔軟で強くなかなか折れないらしい。
やがて火山岩の転がる沢に出る。
かすかに水の流れる音が聞こえる。
ギンザンマシコが所々で顔を出す。
この右奥には羅臼湖の出来た原因の噴火をした天頂山1046mがある。
クロウスゴの実がたくさんある。
ブルベリーと似て大変美味しいらしい。
シラタナマノキの白い実も目立つ
知西別岳が見えてくると四の沼に着く
この辺は夏には素晴らしいお花畑になるそうだ。
ミツガシワの葉が可愛い
沼の端には水芭蕉の大きな葉が残っている。
大きな五の沼に着く
五の沼から小高い所を抜けると目の前に知西別岳。
木道の向こうに羅臼湖が出現。
知西別岳に向かって真っ直ぐな木道を行く。
前を行くガイドさんは、サラリーマンだったが退職して専門学校へ行き資格を取ってガイドになったそうだ。
聞くと私と丁度同じ頃にビオトープ管理士やNACS−Jの自然観察指導員もとっておられて、
赤谷の森の話などで盛り上がる。
私のような年代の者がそんな資格を取っていることに驚かれたようだ。
木道の終点の展望所には、お年寄りが一人
10時47分着。
なんと1時間47分も掛かっている。
いろんな説明を聞きながら、ゆっくり歩いたからなぁ。
振り向けば、羅臼岳のゴツゴツした山頂が覗いている。
突然雨が降ってきた。
みんな雨具を着用
11時15分雨の中を出発。
ダケカンバの樹はまだ紅葉していない。
ミネザクラが少し紅葉し始めている。
ハイマツの実は殆どかじられてしまっている。
ホシガラスやギンザンマシコ、エゾシマリスやヒグマなどは、
マツボックリをきれいに剥いで、おいしい実をお腹いっぱい食べるらしい。
四の沼まで帰ってきた。
沼の向こうに知西別岳。その左奥に遠音別岳。
ミツガシワとヒルムシロ
ツルリンドウの実ととても素敵なブルーのエゾアオイトトンボ
雨がやんで羅臼岳が全貌を表した。
三の沼の逆さ羅臼岳が見えるかなと三の沼に急ぐ
しかし三の沼に着くとまたガス。
かろうじて時々頂上だけが顔を出す。
色の濃いヨツバヒヨドリか?
12時50分登山口着
知床峠でみんなとお別れ
ガイドから徳島でもガイド、ガンバッてくださいと言われる。
羅臼岳がまた顔を出した。
次々と観光客がやってくる
国後島が遙か向こうに見えるらしいが何にも見えない
峠から羅臼川に沿って下る。
無料の温泉があるらしい。
羅臼の町に下り、道の駅で昼食。
海鮮料理はまた夕食に出るので、私はホッケのハンバーガー。
家内はジャガイモ揚げ饅頭。
これが意外と美味しかった。
カニ飯のパックなどを買い此処で食べると、みそ汁を出してくれる。
200円のコーヒーを飲みオホーツク老人の像の場所を聞く。
漁港の向こうに国後島がかすかに見える。
羅臼漁港のすぐ上に、しおかぜ公園はあった。
オホーツク老人の像は森重久弥そっくり
私が今回知床に来た目的の一つはこのオホーツク老人の像に会う為だった。
子供の頃親父が良くオホーツクの舟歌を歌っていた。
戸川幸夫の小説「オホ−ツク老人」に感動した森重久弥は自らプロダクションを立ち上げ
「地の涯に生きるもの」 を撮影した。
撮影が終わったときに羅臼の人たちにお礼として作ったのがこの「オホーツクの舟歌」(さらば羅臼)だと言われている。
オホーツクの舟歌(倍賞千恵子)熱唱です。
オホーツクの舟歌(森重久弥)語りかけるように歌います。
知床の冬の厳しさとやって来る春の喜びがひしひしと感じられます。
作曲・作詞 森繁久弥
オーシコイ オーシコイ ヤレコレホイサ ノ オーシコイ
1.オホーツクの海原 ただ白く凍て果て 命あるものは 暗い雪ノ下 春を待つ心 ペチカに燃やそ 哀れ東(ひんがし)に オーロラかなし
2.最涯(さいはて)の番屋に 命の火チロチロ トドの鳴く夜は いとし娘の瞼に 誰に語らん このさみしさ ランプの灯(ほ)影に 海鳴りばかり
オーシコイ オーシコイ
ヤレコレホイサ ノ オーシコイ
3.スズランの緑が
雪解けに光れば
アイヌの唄声
谷間にこだます
シレトクの春は
潮路に開けて
舟人のかいな
海に輝く
4.オレーオレー オーシコイ
沖の声 舟歌
秋あじだいエリャンサ
揚げる網ゃ大漁
霞むクナシリ
我が故郷
何日の日、詣でむ
御親(みおや)の墓に
ねむれ静かに
学生の頃いつの間にか歌詞が知床旅情となり森重久弥そして加藤登紀子の歌がはやった。
何処かで聴いた歌だ。そうだこれは親父が良く歌っていた曲だ。
「しれとこの岬に 浜なすの咲く頃..」
知床とはどんなところだろうか?浜なすの花とは?
しかし、徳島から知床はいかにも遠い。
就職して東京に住んでも、なかなか知床には行けなかった。
仕事でも札幌だし、ゴルフでも千歳の近くが多かった。
7年ほど前に家内と行ったときは、駆け足のツアーだったので、知床には寄らなかった。
浜なすの花はすでに散っていると思っていたが、なんと咲いて待っていてくれた。
羅臼漁港の見える公園で浜なすの花に出会えて感激
長年の夢が叶った。
しおかぜ公園から羅臼国後展望塔を目指す。
羅臼町の中心市街地にほど近い海抜167mの高台にある展望台。
羅臼市街を一望できるほか、眼下に広がる根室海峡を隔て、約30km先にある国後島の雄大な姿を眺望できる。
国後島は目の前一杯にとても大きく横たわっている。
外国だとはとても思えない。
羅臼の町と漁港が一望できる。
海と崖に囲まれた予想以上に小さな街だ。
崖沿いの道を知床岬に向かう道沿いに民家が点在する。
オホーツク老人の番屋もあんな所にあったのだろうか。
遙か向こうに海に突き出た立岩。
そして、ざいもく岩トンネルの上に羅臼灯台
この根室海峡沖で鯨ウオッチィングがされているのだろうか。
展望塔の屋上に出るがすごい風だ
さあこれから、野付半島に向かおうとカーナビにホテルまでのルートを設定する。
しかし、なんと野付半島経由ではホテルまで6時間も掛かると出た。
阿寒湖畔のホテル直通でも4時間半で着くのは18時半と表示された。
これでは無理だ。
霞んだ国後島を左に見ながら知床半島の南側を西に進む。
「北の国から2002」の純の番屋の横を通る。
此処はレプリカだがとても美味しい食事を出してくれるらしい。
次に来たときは此処で食事しよう。
この「北の国から2002」も今から考えると、「オホーツク老人」を強く意識した作品のように思える。
結の義父のトド撃ちの吾平は正に「オホーツク老人」そのものだ。
知床旅情に歌われた羅臼峠を越えて淡々と走る。
やがて、海から離れて、広々とした牧草地の真ん中を延々と道は続く。
糞転がしのような牧草の固まりが転がっている。
冬の準備が着々と進んでいる。
カーナビが国道から離れた開発道路を示す。
アップダウンがあるだけで真っ直ぐな道が延々と続く。
牧場と防風林が延々と続く。
走っても走っても車がいない。
大型トラクターに出会うだけ。
後ろからオートバイの大群がやつてきた。
抜いてくれればよいのに後ろにぴったり付いてくる。
やっとミツバチ族の聖地と言われる中標津町の開陽台展望台で後ろからいなくなった。
開陽台には寄らなかったが、展望台に行けばこんな景色が見えるらしい。
中標津町HPより
快調に飛ばし、摩周湖の交差点で摩周湖に寄ろうとしたがいつのまにか屈斜路湖横に出てしまった。
なんか疲れたのでそのまま阿寒湖畔のホテルに向かう。
5時過ぎには着いてしまった。
このホテルは3度目の宿泊。
目の前に阿寒湖と雄阿寒岳が美しい。
綺麗な夕焼け、明日は晴れるだろう。
雌阿寒岳登山の為に早々に就寝。
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